或る塾講師の読書録

簡単に読める小説を中心に、紹介できれば良いなと思っています。

【10分読書】『杜子春』(著:芥川龍之介)【青空文庫】

どうも。もし宝くじが当たったら、家を買いたいジュクリブです。

 

早速ですが質問です。

「あなたの願いが叶うのと引き換えに、あなたの親が不幸になる悪魔の契約書があったら、それにサインしますか?」

 

絶対にそんなものにはサインしないという人もいれば、願いと不幸のバランスによってはサインするといった人も多そうですね。

 

さて、今回は芥川龍之介著『杜子春』を紹介したいと思います。

この作品も芥川の作品らしく、短編小説で非常に読みやすい作品です。もともとは中国の作品を芥川が童話化した作品ですので、児童向けに読みやすくなっているのは当然のことかもしれません。

これも10分くらいでは読み終わる作品ですので、読んだことのない人は是非読んでみてください。

 

杜子春』の主要な登場人物は二人。タイトルにもなっている若い男杜子春と謎の老人です。この二人のやりとりを軸に、物語は展開していきます。

 

この作品のテーマは大きく二つあると、私は考えています。

一つ目は、「お金を持っていることは幸せ?」。そして、二つ目はこの記事の冒頭の問いに関連しますが、「自分の願いのために、他人を犠牲にして良いか?」というテーマです。

 

まず一つ目のテーマ。「お金を持っていることは幸せ?」

諺にもありますね。『金の切れ目が縁の切れ目』

本当に嫌な諺です。この諺を真と考えるか、偽と考えるかは人それぞれですが、あなたはどちらだと思いますか?

 

そして、二つ目のテーマ。「自分の願いのために、他人を犠牲にして良いか?」

作品中では、杜子春の願いと母親の苦痛が天秤にかけられています。そこで杜子春がどのような判断を下すのか。そこがこの作品の最大の山場でしょう。

 

杜子春の考えと、自分自身の考えと比較しながら読むのも、小説の楽しみ方の一つではないでしょうか。

 

それでは、このへんで。

最後に超ざっくりあらすじを書いて終わります。盛大にネタバレを含みますので、これから『杜子春』を読もうとしている人は、続きを読まないでくださいね。

 

 

 

 

(超ざっくりあらすじ)

杜子春 :お金ないな~。はぁ~。これからどうしよう…。

謎の老人:君。何かお困りかな?

杜子春 :お金もなく、今晩寝るところがないのです。

謎の老人:だったら、日が沈んだら、そこを掘りなさい。たくさんの黄金が埋まっているから。

 

杜子春は言われたとおりに、掘りおこすと、本当に黄金が埋まっていた。杜子春は一夜にして大金持ち。

 

杜子春 :俺は富を手に入れた。盛大に遊ぶぞ~!

周りの人:さずが、杜子春杜子春、素敵~!

 

~数年後~

 杜子春 :お金ないな~

謎の老人:それでは、夜にそこを掘って・・・

杜子春 :ありがとうございます。でも、もうお金はいいのです。

謎の老人:どうして?

杜子春 :皆、お金を持っている時は、お世辞とかも言ってくれました。しかし、貧乏になると、お世辞どころか、優しい顔一つしてくれません。そんな人間に愛想が尽きました。

謎の老人:それでは、これからどうするのか?

杜子春 :あなたの弟子にしてください。あなたは仙人に違いありません。そうでなければ、私を一晩で大金持ちにすることなんて出来ません。

謎の老人:いかにも、俺は鉄冠子という仙人だ。そんなに、俺の弟子になりたければ、弟子にしてやっても良いぞ。

 

~場所が変わって、鉄冠子の住む山~

鉄冠子:ちょっと出かけてくる。魔物とかが、お前にちょっかいを出しに来ると思うが、絶対に一言も声を出すな。それくらいもできなければ、仙人になるなんて無理な話だ。

杜子春:はい。絶対に一言もしゃべりません。

 

~鉄冠子がお出かけの最中~

杜子春は蛇と虎に襲われるも無事だったが、神将が登場。

神将 :そこの奴、なんか喋ろ。

杜子春:・・・

神将 :なんか喋ろよ。喋らないと殺すぞ!

杜子春:・・・

神将が、杜子春を一突き。杜子春は殺され、魂は閻魔大王の前へ到着。杜子春は詰問や地獄の責め苦にあうも、終始無言。

 

閻魔大王:埒があかない。こいつの両親は地獄にいるから連れて来い。コイツの前で、両親を痛い目に合わせてやれ。

 

杜子春の両親が地獄から連れてこられ、閻魔大王の手下の鬼が、杜子春の前で鉄の鞭で両親を打った。

杜子春母:何も言いたくなければ、ずっと黙ったままで良い。私たちのことは心配しないで良いよ。私たちの幸せは、お前が幸せであることだよ。

杜子春 :お母さん

 

杜子春は気づくと、弟子入りをお願いした街中にいた。

鉄冠子:仙人になるなんて無理だろ?

杜子春:はい。私は仙人にはなれません。しかし、なんだか嬉しい気がします。

鉄冠子:もしお前が、あの時黙ったままだったら、おれがお前を殺したさ。それで、これからどうするつもりだ?

杜子春:人間らしく、正直な暮らしをするつもりです。

鉄冠子:その言葉忘れるなよ。これが今生の別れだ。