或る塾講師の読書録

簡単に読める小説を中心に、紹介できれば良いなと思っています。

【10分読書】『頭ならびに腹』(著:横光利一)【青空文庫】

 どうも。周りに流されがちな典型的日本人のジュクリブです。

 

 皆さんに一つ質問です。

 もしも、皆さんが乗っている電車が事故で運転見合わせになったとします。何が原因で止まったのかもわからないですし、いつ運転再開になるかもわかりません。迂回するために、乗り換えますか。それとも、待ちますか。

 

 今回は、そんなことを切り口とした小説、横光利一著『頭ならびに腹』を紹介したいと思います。横光利一といえば、代表作は『日輪』でしょうか。

 本作品『頭ならびに腹』は、青空文庫にあり、10分程度で読める作品です。気軽に読める作品ですので、是非一度読んでみてください。

 

 率直な感想としては、少し読みにくいかなとは思いました。ちょこちょこと、昔特有の仮名遣いや、小難しい漢字も含まれていたりしたので。ただ少し気になる程度で、そんなにストレスにはなりませんでした。

 それでは、内容について触れたいと思います。ブログの最後に、超ざっくりあらすじも書いています。

 

・タイトルにある「頭」と「腹」とは?

 「頭」は鉢巻をして、歌っている少年を表し、「腹」はいかにも金持ちそうな太った男を表していると考えるのが普通でしょう。

 

・この作品の主題は?

 「結局、人はお金持ちや権力者について行く。しかし、それは正しいの?」ということでしょうか。

 この作品の核は、手拭いで鉢巻をした小僧と、いかにも金持ちそうな太った男との対比です。この作品の初出が、1924年大正13年)。裕福ではない時代です。したがって、この太った男を、お金や権力の象徴としてみるのが妥当でしょう。一方、小僧は、周りなど関係なく、自分の意志を貫こうとしている様子がみてとれます。

 電車が止まり、迂回用の電車が来るとアナウンスがあっても、迂回用の電車に乗るかどうかを、決めかねる乗客。しかし、この太った男が迂回用の電車に乗ると決めたところで、迂回用の電車に乗客は殺到する。そして、迂回用の電車は出発する。しかし、その直後、止まった電車が運転再開し、最終的には一人残った小僧の判断が正しかったという結末です。

 要するに、お金や権力に迎合するよりも、自分の意志で判断したほうが良いのではないかということを書き表したかったのではないかと、個人的には思います。

 

 それでは、このへんで。

 

(超ざっくりあらすじ)

~満員電車にて~

小僧:目的地まで、歌いまくってやるぞ。うちの~~~

乗客:笑

 

~電車が停止~

車掌:この列車は、これより先に進みません。

乗客:ふざけんな!!

 

小僧一人だけが、もとの電車に残り、他の乗客は電車を降りる。

車掌:迂回用の列車が来ます。乗る方は、ここへ切符を出してください。

決めあぐねる乗客たち。

太った男:俺は迂回用の電車に乗るぞ!

乗客たち:私も!私も!私も!

小僧一人を残して、迂回用の電車は出発。

 

小僧:汽車は、出るでん~~~(歌い続ける)

車掌:運転再開します。

 列車は目的地へ、乗客は小僧一人を乗せて、走り出した。