或る塾講師の読書録

簡単に読める小説を中心に、紹介できれば良いなと思っています。

【10分読書】『黄金風景』(著:太宰治)【青空文庫】

 どうも。メイドさんのいる生活を経験してみたかったジュクリブです。

 

 皆さんの家にはメイドさんはいますか?

 というか、メイドさんや執事さんのいる家なんて、未だにマンガやアニメの世界だけではないのかと、私は思っています。

 

 さて、今回紹介するのは、太宰治著『黄金風景』です。

 太宰治は、個人的には自殺マニアで『人間失格』を書いた人という印象です。他には、『走れメロス』や『斜陽』という有名作品を書いていますね。

 

 今回紹介する『黄金風景』も、主人公のクズさが出てている作品です。ストーリーを今風に言い換えれば、以下のような感じでしょう。

 

 小中学生の時イキッてたいじめっ子が、大人になって貧乏な生活をしていた。そして、彼はたまたまツイッターフェイスブックで、昔のいじめられっ子を見つけた。そこで、いじめられっ子が家族をもってささやかな幸せを手にしているのを知り、悔しい~!!と思った。

 

・『黄金風景』のテーマは?

 「普通の人でも、つらいことに耐え忍べば、幸せになれるし、一方で、自分のことしか考えられないような人間は、幸せにはなれない。」

 これが、私の思うこの作品の主題です。

 

・『黄金風景』を読んでの感想

 本作品『黄金風景』では、上で今風に言い換えたあらすじの中の、いじめっ子にあたるのが金持ちの息子の子供である主人公。いじめられっ子にあたるのが女中です。

 正直、個人的には、この主人公は嫌いですが、人間らしい感じもします。「人の不幸は蜜の味」と言いますが、その逆も然りなのでしょう。そして、その後者を噛みしめているのが主人公です。そして、私自身の実生活を振り返ると、多かれ少なかれ生きていれば経験することのような気がします。

 一方で、女中は人間的に深みのある素晴らしい人だとは思いますが、どこか聖人チックで普通の人とは一線を画しているような気がして、これまた私は共感しかねるかなと思いました。著者は、普通の人でも耐え忍び、人の悪口を言わなければ、普通の人でも幸せになれることを描きたかったのかもしれません。しかし、私にはそれが出来たら普通の人ではないよと思ってしまいました。私が卑屈なだけでしょうか?

 

・おまけ:冒頭の一節

 『黄金風景』の冒頭には、ロシアの詩人プーシキンの詩『ルスランとリュドミーラ』の一節が引用されています。

 この詩を読んだことのある人は、圧倒的少数派でしょうし、一読しただけではよくわかりません。私もこの詩を知りませんでした。

 この詩を太宰はなぜ引用したのでしょうか。結論、そんな深い意味はないと思います。この作品を書くにあたって、太宰がこの詩からインスピレーションを受けて、冒頭にその詩の一節を書いたのかもしれませんし、外国の詩ってなんかかっこ良いから引用してみただけかもしれません。少なくとも、この作品を読む上では、あまり気にしなくて良いでしょう。

 

 それでは、このへんで。以下、超ざっくりあらすじ。

 

(超ざっくりあらすじ)

~主人公子供時代~

主人公:おい、女中。お前、のろますぎるんだよ。さっさと働け!

女中 :申し訳ございません…。

 

 大人になり、主人公は家を追い出される。巷をさまよい、その日暮らしの生活。

警官 :あれ、君って主人公君じゃない?

主人公:はい。そうです。

警官 :やっぱりそうだよね。そう言えば、女中覚えている?

主人公:女中?

警官 :彼女ですよ。あなたの家に勤めていた。

主人公:あぁ…。思い出した。彼女は幸福ですか?

警官 :はい。今度、女中を連れてきても良いでしょうか?

主人公:(マジで…。勘弁してよ。てか、アイツ幸せになってんの…。)

 

~女中が家族を連れて登場~

主人公:すいません。これから用事があるのです。日を改めてください。

 

 主人公が海辺に逃げ出す。

主人公:クソッ。負けた。負けた。

 遠くから女中家族の団欒の笑い声。

警官:あの主人公は、頭もよさそうだし、いまにも偉くなるぞ。

女中:そうでしょ。そうでしょ。

 主人公は、立ったまま泣いていた。