或る塾講師の読書録

簡単に読める小説を中心に、紹介できれば良いなと思っています。

【10分読書】『ラムネ氏のこと』(著:坂口安吾)【青空文庫】

 どうも。ウニが大好きジュクリブです。

 

 美味しいけど、最初に食べた人はどうして食べようと思ったのっていうものってありますよね。フグを筆頭としたあたるものなどは、それの代表格ではないでしょうか。

 

 この記事で紹介するのは、上記のことをフックに物語を展開していく作品、坂口安吾著『ラムネ氏のこと』です。私は記憶にないですが、高校の現代国語の教科書にも収録されたことのある作品らしいです。確かに、古い仮名遣いが含まれるので、中学生だとまだ読みにくさを感じる作品かもしれません。しかし、前半では筆者の実体験を踏まえた笑い話で入り、後半にかけて筆者の伝えたいことを書いてある作品で、内容的には読みやすい作品ではないかと思います。

 『ラムネ氏のこと』は10分程度で読める青空文庫掲載作品です。是非一度、読んでみてください。

 

・ラムネ氏は何を象徴しているのか?

 「ラムネ氏=何かを発見、発明し、後世に伝えている人」。これがわからないと、この作品は意味が分かりません。

 そもそも、この作品におけるラムネ氏とは、ラムネに入っているビー玉の仕組みを考えた人のことを直接的にはいっています。そして、作品の中盤から後半にかけて、「ラムネ氏は何かを発見、発明し、後世に伝えている人」の言い換えとして、作品中に何度も登場します。

 これをもとに、作品をざっくり理解しましょう。本作品は、上・中・下の3パートに分かれており、さらにそれぞれに筆者のエピソードと筆者以外のエピソードに分けられます。それを踏まえて、ざっくり流れをつかみます。

 

(1)上

①筆者のエピソード

 →アユ釣りに来て、ラムネの玉を発明した人の話になる。

 ⇒ラムネの玉を作った人ってすごいよね!

 

②フグの話(フグの毒にあたった太郎兵衛と頓兵衛)

・太郎兵衛→遺言が「フグを食べてはいけない」

・頓兵衛→遺言が「フグは美味い。だけど、血を絞らないと、俺のように死ぬよ。」

 ⇒太郎兵衛は何の発見もしていないけど、頓兵衛は子供たちに新たな教訓を残している。「頓兵衛=ラムネ氏」

 

(2)中

①筆者のエピソード(とある鉱泉宿での出来事)

 知らないキノコが食事と出されるが、そのキノコがよくわからないもので怖くて食べられない。

 ⇒挑戦しないことには、発見もない。「筆者≠ラムネ氏」

 

②その鉱泉宿のキノコ名人

 自分のとってきたキノコにあたって亡くなる。しかし、住人はそれを気にせず、キノコを食べ続ける。キノコ名人は、なぜ自分が毒キノコを食べてしまったのかや、毒の原因についての究明をしていないし、周りの人もしていない。すなわち、新たな発見をしていない。「キノコ名人≠ラムネ氏」。しかし、住人は恐れずにキノコを食べ続けている。「住人=ラムネ氏予備軍」。

 

(3)下

①伴天連

 「愛」という未だなかった言葉を、新たに翻訳した。「伴天連=ラムネ氏」

 

②筆者のエピソード(戯作者)

 「既存の公式に反抗を試みた文学=戯作」。既存に反抗し、新たな境地を開拓している。「戯作者=ラムネ氏」

 

・まとめ

 結果的に、筆者は何を言いたかったのか。筆者はこの作品を通じて、ラムネ氏を評価しています。そして、作品の最後に、ラムネ氏的に生きることは、一生を賭けるだけの価値があると断言しています。筆者自身が戯作者であることを踏まえると、自分のやっていることには価値があると言いたいのでしょう。

 

・感想

 何かに打ち込むことは大変ですし、打ち込み続けることはさらに大変です。「好きこそものの上手なれ」と言いますが、それに「継続は力なり」が加わらないと、ラムネ氏にはなれないんだろうなとつくづく感じました。

 

 それでは、このへんで。